ショウネンジダイ
懐かしそうにアルバムのページをめくる彼女を見て、自然と笑みが浮かぶ。
この平和な時間に慣れてどのくらいになるのだろう。
「そんなに楽しいか?そのアルバムは」
「うん。皆が懐かしいよ」
笑顔で答える彼女に愛しさを覚えて、後ろからそっと抱きしめた。
「わ!?何なに?どうしたの?」
「別に・・・どうもしない」
お前が可愛かったから、などとは口が裂けても言えない。
彼女のサラサラの髪が気持ち良くて頬擦りしていると、彼女の手が止まっているのに気付いた。
アルバムの1ページ。じっと同じところを見ている。
「?」
ぼーっとしていた彼女は私の声で我に返ったようだ。
「ん?ごめん、何?」
「どうしたのだ?ボーッとしていたぞ」
「んー?」
質問に答えていないぞ。
「カミュには、特別な人っている?」
「え?」
特別な人、と言われて真っ先に思い浮かぶのは。
そう言おうとして、しかし思いとどまった。次の彼女の言葉を聞いたから。
「忘れられない人って、いる?」
が見ていた写真は、多感な思春期を過ごしていた頃のもの。
私の知らない男と撮った写真。
私ではない誰かと。
柔らかい風が吹くこの聖域の風景を眺める。
その心の中には、まだ誰かが住んでいるのだろうか。
いつか、私だけを想ってくれる日が来るように。
今言えなかった言葉が言える日が来るように。
静かに、願った。