春。
 
心地よい天気。
 
こんな日は、外に出てみるのも良いかもしれない。
 
 
 
 
 
 
 
「気持ち良いですね。ミロ様。」
 
 
 
 
 
 
 
はミロを誘い出して、散歩をしていた。
 
行き先は決めていなかったがなんとなく二人で、森の方にきていた。
 
 
 
 
 
 
 
「いつのまにか風が暖かくなっていたんだな。
 
 が散歩に誘ってくれなかったら気づかなかった。
 
 サンキューな。」
 
「ふふっ、どういたしまして。」
 
 
 
 
 
 
 
どちらともなく手をつなぎ、更に進んで行った。
 
無言のままで。
 
だが、その沈黙は決して居心地の悪いものではなかった。
 
 
 
 
 
 
 
「ん?」
 
 
 
 
 
 
 
沈黙を破ったのはだった。
 
しかも、キョロキョロと何かを探すような仕草をしている。
 
 
 
 
 
 
 
「どうかしたのか?」
 
「あ、いえ、ただ・・・・」
 
 
 
 
 
 
 
言葉尻を濁して、または辺りを見回した。
 
 
 
 
 
 
 
「何を探してるんだ?」
 
「沈丁花です。」
 
「沈丁花?」
 
「ご存知ないですか?」
 
「ああ。」
 
「この時期に咲く花なんですけど。
 
 今、匂いがしたので、この辺りのあるのかと思って・・・・。
 
 あっ、あった。」
 
 
 
 
 
 
 
「これが沈丁花?」
 
「そうですよ、ミロ様。」
 
「匂いの強い花なんだな。」
 
「ええ。私が、匂いで分かる花はこれ位です。」
 
「好きなのか?」
 
「はい。」
 
 
 
 
 
 
 
満面の笑みで答えたを見て、ミロは更にを喜ばせたいと思った。
 
そして・・・・
 
 
 
 
 
 
 
「ミロ様?何をするつもりなんですか?」
 
はこの花が好きなんだろ?
 
 折ってもって帰ろうかと思って。」
 
「・・・・私のためですか?」
 
「うん。」
 
「なら、辞めてください。」
 
「なんで?はこの花が好きなんだろ?」
 
「こうして歩いているときに、かすかに香るのが好きなんです。
 
 ですから、私のために花を手折るのは辞めて下さい。」
 
「・・・・・・・が喜んでくれないなら、分かった辞めるよ。」
 
 
 
 
 
 
 
せっかくを喜ばせることができると思ったのに。
 
 
 
 
 
 
 
明らかにミロは落ち込んでいた。
 
その行動が、ミロが自分を思ってくれていることをに思い知らせることも知らずに。
 
 
 
 
 
 
 
「ミロ様。」
 
 
 
 
 
 
 
に名を呼ばれ、ミロは顔を上げてそちらを見た。
 
その唇に、柔らかな感触がほんの一瞬だけ伝わった。
 
 
 
 
 
 
 
?」
 
「ごめんなさい、ミロ様。
 
 私のことを考えてくださっていると思ったら、すごく嬉しくて。」
 
 
 
 
 
 
 
自分でしておきながら頬を朱に染めるが可愛くて、思わず笑ってしまった。
 
 
 
 
 
 
 
「〜〜〜笑わないで下さい!!」
 
が悪いんだぞ。」
 
「何でですか!!」
 
「可愛すぎ。」
 
 
 
 
 
 
 
ミロはそう言いながら、を自分の腕の中に収めた。
 
 
 
 
 
 
 
。」
 
「〜〜〜〜〜。」
 
「この花は折っちゃいけないんだろ?」
 
「はい。」
 
「でも、はこの花が好きなんだろ?」
 
「はい。」
 
「なら、明日も見に来ような。」
 
「え?」
 
「俺とじゃ嫌か?」
 
「〜〜〜〜〜〜。」
 
?」
 
「〜〜〜〜〜嬉しいです。」
 
 
 
 
 
 
 
それから毎日、森に手をつなぎながら歩いていく二人を見ることができるようになったそうです。