さくらんぼ♪
 
 
 
「おいしいねv」
 
「ああ。」
 
「ん〜〜、しあわせvv」
 
 
巨蟹宮の一室で、向かい合って座りながら、目の前にあるさくらんぼを食べているとデスマスク。
 
は、本当に幸せそうな顔をして食べている。
 
そんなを見ていたデスマスクは、ふと、昔誰かから聞いた話を思い出した。
 
 
「おい、お前知ってるか??」
 
「? 何を??」
 
「コレだよ、コレ。」
 
 
そう言って、の目の前までさくらんぼの蔕を持っていった。
 
 
「・・・・これがなんなの??」
 
 
には、デスマスクの言おうとしている事が分からず、聞き返してみる。
 
 
「なんだよ、知らねぇのか? まぁいい、お前、コレを口の中で結べるか?? っていうか、結べ。」
 
 
コレ、とは間違いなく、さくらんぼの蔕である。
 
 
「・・・私に、やれと・・・??」
 
「やれ!!」
 
 
考えた末に出た言葉は、わずか0.02秒で即答されてしまった。
 
 
 
 
しばらく蔕とにらめっこをしていただが、デスマスクの異変に気づき、急いで蔕を口の中へ入れた。
 
デスマスクはというと、真顔で小宇宙を高めていた。
 
このままにらめっこを続ければ、自分は間違いなくこの世には存在し続けられなかったであろう。
 
そう察知したは、とりあえずデスマスクの気の済むようにしてやろうと思った。
 
 
「・・・ん・・・・・・ん?っ・・ぐっ・・・・・・。」
 
「どうだ?? 出来てるか??」
 
 
・・・出来てるわけ無いだろう・・・。
 
どことなく嬉しそうに聞いてくるデスマスクに、そう言ってやりたい気分だった。
 
 
 
 
「まだ出来ないのか?」
 
 
いつの間にかの隣に移動してきていたデスマスクは、いつになく優しい声で話しかける。
 
仕方ねぇな、と呟いた瞬間、デスマスクは自分の唇をの唇に重ねた。
 
 
「!??」
 
「ほら、こうするんだよ。」
 
「・・んっ・・・んっぁ・・・・・・ふっん・・・・・・・・。」
 
 
頭がボーっとするような、神経から溶けそうな深い深いキスに、はしばらく抵抗していたが、
 
そのうち力は抜け、デスマスクに全てをあずける。
 
口内ではデスマスクの舌がの舌を絡め取り、
さっきまで2人が食べていたさくらんぼの甘い香りがほのかにするだけ。
 
 
しばらくして、デスマスクはを開放した。
 
そして、今までが含んでいた蔕も、一緒にとってやった。
 
 
「・・・はぁ・・・・・っ・・。」
 
「どうだ? 分かったか??」
 
 
荒い息をつくに、平然と言い放つデスマスク。
 
 
「あぁ?? まだ分かんねぇのか??」
 
 
いつまでたっても返事をしないに、もう一度、と言わんばかりに顔を近づけて聞く。
 
 
「平気!!、もう十分わかったから!!」
 
「くっくっくっ、そうか。」
 
 
真っ赤になりながら否定するを、デスマスクは素直に可愛いと思った。
 
 
「それで??」
 
「ん?」
 
「最初にデスマスクが言いたかった事って、何なの??」
 
「あぁ、あれか・・・・。」
 
 
はずっと気になっていた事を聞いてみたが、当のデスマスクは、そんな事はすっかり忘れていたらしかった。
 
 
「あれか、じゃないよ!! もう・・・。」
 
 
呆れたように言うだったが、デスマスクは、気にも留めず話し始めた。
 
 
「あれはなぁ、蔕を口の中で結べるヤツはキスが上手い、って聞いた事があってな。お前はどうかな? と思ったんだ。」
 
「・・・・私を試したの??」
 
「思ったとおり。お前、キス下手!!」
 
 
わっはっは、と笑うデスマスクの顔面に右ストレートをかまして、は後ろを向いてしまった。
 
デスマスクに背を向ける事がどんなに危険な事か、この時のには考えている余裕はなかった。
 
案の定、デスマスクは(自分の頬をさすりながら)を後ろから抱きしめた。
 
抵抗するかと思って少し強めに抱きしめたデスマスクだったが、は何の抵抗もすることなく、ただ俯きながら涙を流していた。
 
 
「おわっ!! お前、なに泣いてんだよ!!」
 
 
デスマスクは腕を解いて、の正面に回り、目線が同じくらいになる位までしゃがんだ。
 
そして、落ち着くようにと、ゆっくり頭を撫でてやる。
 
 
「もう、大丈夫か?」
 
 
しばらくして、落ち着いてきたに話かける。
 
は何も言わず、黙って顔を上げた。
 
そして次の瞬間、は自らデスマスクの唇を奪った。
 
さっき自分がされた様に、デスマスクの舌を自分のそれに絡めて。
 
 
 
 
デスマスクは、何が起こったのか分からなかった。
 
まさか、あのが自分からキスしてくるなんて・・・。
 
自分は夢でも見ているのではないのか??
 
だが、の唇が離れていくにつれて、これは夢ではないと確信していった。
 
 
「・・・おい、・・・・・お前・・・。」
 
「私、キス下手?」
 
「は??」
 
「私は、そんなにキスが下手?」
 
 
は、瞳に涙をいっぱいためてデスマスクに問いかけた。
 
 
もしかして、が泣いていたのは、これが原因だったのか??
 
自分が、お前はキスが下手だと言ったから・・・。
 
 
「お前、まさか、そんな事気にしてたのか??」
 
「そんな事じゃないもん!! なによ!! デスマスクのばかぁ!!」
 
 
泣き顔も怒った顔も、可愛い。
 
だけど、やっぱりには笑っていて欲しい。
 
そう思ったら、無意識のうちに謝っていた。
 
 
「そんなに気にしていたのなら、謝るよ。・・・・悪かったな・・・・・。」
 
 
素直に謝ったのが意外だったのか、は黙ってデスマスクを見つめていた。
 
 
「・・・・なんだよ・・。」
 
「いや、デスマスクでも謝る事ってあるんだなぁ、と思って・・・。ちょっと意外。」
 
 
ふふふ、と笑いながら言う。
 
その笑顔にデスマスクは、ひとまず安心した。
 
だが、そこはデスマスク。
 
素直に安心したなどと言えるわけが無い。
 
代わりに出た言葉は、を傷つけるだけだと分かっていても、つい言ってしまう。
 
 
「・・・忘れんなよ。確かに謝ったが、下手だって事を取り消した訳じゃないんだぜ。」
 
 
デスマスクがそう言うと、は案の定、曇った表情を見せたが、続けた言葉は彼女を笑顔に戻すだけの力を持っていた。
 
 
「下手なら、これから上手くなればいいんだ。 つきっきりで教えてやるよ。」
 
「・・・・バカ・・・・。」
 
 
 
 
・・・・・今日もデスマスクとの特訓は続く・・・・・・(??)