黒嵯峨君の非日常 STAR PUZZLE MARCH 出張編
       『放課後の危機』


キーンコーンカーンコーン・・・
今日も無事に聖域学園の授業が終了した。
いっせいに騒がしくなるB組の教室で、デスマスクがシュラに声をかける。

 デス「おーい、シュラ、この後どっか行かねえ?」
 シュラ「・・・別に、構わんが」
 黒サガ「面白そうだな。俺も行く」
 デス「誘ってねえだろ!まあ、いいけどよ」

結局、デスマスク、シュラ、黒サガ君、そしてアフロディーテの4人が街へ出掛ける
ことになったようだ。
シャカ先生は心配そうに呟く。

 シャカ先生「悪の軍団が何をするつもりなのだ・・・」

2台の自転車にそれぞれ黒サガ君とシュラ、デスマスクとアフロディーテが2ケツで
街へ向かっている。先行の黒サガ君たちに続いてデスマスクが角を曲がろうとした時、後ろのアフロディーテが叫び声と共にデスマスクを突き飛ばし、
自転車は転倒、デスマスクは道端に放り出された。

 デス「痛ぇな!何すんだ!」
 アフロ「それはこちらの台詞だ!お前がギリギリで曲がろうとするから、見ろ!
     電柱で膝を擦りむいてしまったわ!」
 デス「ああ、そりゃ悪かったな。なめときゃ治るだろ」

デスマスクがそう言って唾をつけた指でアフロディーテの膝を撫でようとすると、
アフロディーテは再びデスマスクを突き飛ばした。

 アフロ「やめろ!汚い手で触るな!!病気がうつるわ」
 デス「何だと!?素直に謝ってやっただろうが!いい加減にしろよ!?」

ぎゃあぎゃあ言い争いをしていると、何時までたっても追いついてこない2人の様子を見に黒サガ君とシュラが引き返してきた。

 黒サガ「何をしている」
 アフロ「聞いてくれ、黒サガ君!さっき・・・」

アフロディーテがこれまでの経緯を説明すると、黒サガ君とシュラは呆れかえった。

 シュラ「そんなくだらんことでもめていたのか・・・」
 デス「くだらなくねえだろ!?こいつ俺の厚意を病気呼ばわりしたんだぜ!」
 黒サガ「いや、病気になるだろう。“突発性蟹頭症候群”だ」

そう言って黒サガ君は笑い出し、シュラも吹き出した。
憤慨するデスマスクと、さらに喚き立てるアフロディーテ。収拾がつかなくなりかけていた。
そこに通りかかったのはクラスメイトのアイオリアである。

 アイオリア「何やってるんだそんなところで。通行の邪魔だろう」
 黒サガ「む、アイオリア。どこへ行くのだ?」

黒サガ君が尋ねると、アイオリアは少しうろたえた。

 アイオリア「べ、別にどこだっていいだろう。もう行く」
 デス「怪しい。怪しいぞあいつ。女でも出来たか?」
 黒サガ「よし、後をつけるぞ」

どうやらデパートの方向へ向かっているらしいアイオリアを尾行する4人。
制服が目立って仕方がない。

 デス「お、あいつ貴金属店に向かってるぞ。あの顔で」
 アフロ「顔では君も人のことは言えんだろう」
 デス「何!?」
 黒サガ「やかましい!騒ぐな、バレる」

男が一人でアクセサリーを見るのには抵抗があるらしく、恥ずかしそうにショーウィンドーを覗くアイオリア。ガタイの良すぎる客に店員も声を掛けづらそうにしている。

 デス「大人しそうなふりして、強盗でもする気か・・・?」
 アフロ「そんなわけ無いだろう!もっと常識的に見ろ」
 シュラ「やはり女へのプレゼントか」
 黒サガ「ついに奴にも女が出来たか・・・!」
 デス「いや、あいつに限ってそんなことは・・・」

皆言いたい放題である。

 黒サガ「よし、その相手を突き止めようではないか!」

実は結構ゴシップ好きの黒サガ君であった。 

更に尾行を続けようとしたとき、後ろから声を掛けられて全員飛び上がりそうに驚いた。

 ムウ「何やってるんですか?そんな格好で。目立ってますよ」
 黒サガ「いきなり声を掛けるな!驚くではないか」
 ムウ「この状況でいきなり以外にどう声を掛けられるんです」
 デス「何なんだよ?」
 ムウ「質問したのはこっちですよ。全く、これだから落ちこぼれ悪軍団は」
 アフロ「その言い方は誤解を生ずるな。落ちこぼれはこの蟹だけだ」
 デス「うるせぇ!!」
 黒サガ「アイオリアの素行調査だ。奴にとうとう女が出来た」
 ムウ「ええ!?そうなんですか?私はてっきり彼もあなた方も明日のために買い物
     にきているのだとばかり思ってましたが・・・」
 シュラ「明日?何かあったか?」
 ムウ「・・・まさか、忘れてるんじゃ・・・?」
 シュラ「分からないから聞いている」
 ムウ「いや、分からないならいいんです。忘れたのならあなた方にとってそれほど
    たいしたことではないのでしょう・・・。
    じゃ、私はこれで」

ムウは皆の頭に疑問だけを残して去っていった。
 
 アフロ「何だというのだ、一体?」
 デス「まあ、いいじゃねえか。どうせ大したこと無いんだろ」
 黒サガ「本当に単純だな、お前は」
 デス「悪ぃかよ!?人生楽しくなきゃな」
 シュラ「正論だが、お前が言うと何か嫌だ」
 デス「何でだよ!」

デスマスクだけに限らず、全員があまり深く気にしないタイプだったのでその後は
ゲーセンに行ってカラオケで盛り上がって飲み屋で騒いで朝まで過ごしたのだった。

翌日。
二日酔いでフラフラの身体を引きずって登校して来た4人は、学園の様子を見て一気に酔いが醒めた。

 黒サガ「今日は、まさか・・・!」
 シュラ「ああ・・・忘れていた・・・」
 アフロ「学園の創立記念日!」
 デス「やべぇ!」

聖域学園の創立記念日には毎年パーティーが催される。そこでアテナ理事長に袖の下を渡せば学園生活は安泰だというのが暗黙の慣習だった。
昨日のアイオリアが買ったのはアテナ理事長へのものだったのだ。

 黒サガ「しまったぁぁぁあ!俺としたことが!」

アテナ理事長は終始微笑を浮かべてパーティーを楽しみ、最後に一言こう言ったという。

 アテナ理事長「ふふふ。毎年皆からの心のこもったプレゼントがいただけて嬉しい
          ですわ。別に強要しているわけではないけれど、
          今年間に合わなかった人は来年に期待しています」

それって、留年・・・?