「ちゃんと前を見て歩け!!」
 
 
 
 
 
 
 
             その男は、自分にぶつかってきた少年に向かって大声で怒鳴った。
 
             怒鳴られた方の少年は、恐怖からか今にも泣きだしそうである。
 
             それでも、その男はなおも怒鳴ろうとしている。
 
 
 
 
 
 
 
             ごんっ!!
 
 
 
 
 
 
 
             その騒ぎを聞きつけた女性がはなった拳が、その男の後頭部にクリティカルヒットした。
 
 
 
 
 
 
 
             「いっ・・・・・・・・て〜。」
 
             「だめでしょ、ミロ。」
 
             「!!」
 
             「怖がらせてどうするの。仮にも、最強の聖闘士の一人でしょ。」
 
             「殴ることは無いだろうが!!
 
               それに、仮にもって何だよ、仮にもって。」
 
 
 
 
 
 
 
             と呼ばれた女性は、そんな言葉に耳を貸さず、少年に声をかけた。
 
 
 
 
 
 
 
             「ごめんね。怖かったでしょ?
 
              あれには私からよく言っておくから。」
 
 
 
 
 
 
 
             そう言いながらは、少年の頭を優しく撫でた。
 
             あたたかな微笑みを浮かべながら。
 
 
 
 
 
 
 
             「もう大丈夫?」
 
             「はい。」
 
 
 
 
 
 
 
             ミロに軽く会釈して、その少年は去って行った。
 
             が、ミロはまだ納得がいかないようだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
             「ミロ?」
 
             「何だよ。」
 
             「そんなに怒らなくても・・・・・。ちょっとぶつかっただけなんでしょ?」
 
             「ぶつかったことなんて、もういい。」
 
             「じゃあ何でそんなに機嫌が悪いの?」
 
             「が・・・。」
 
             「私?」
 
             「があんまりアイツに優しくするから。
 
              俺以外の男に、あんなことするから。」
 
 
 
 
 
 
 
             「ふ〜ん、ミロたんはヤキモチ焼いてるんだね。」
 
             「そうだよ。悪いか?」
 
 
 
 
 
 
 
             これがデスマスクやカノンなら意地でも否定するのだろうが、
             躊躇することなく答えてしまうあたり
 
             やっぱりミロたんである。
 
 
 
 
 
 
 
             「どうしたら、ご機嫌を直してくれるのかな?ミロたんは。」
 
             「教えてやんない。」
 
             「駄々こねないで、機嫌直して。
 
              ね、ミ〜ロ。」
 
 
 
 
 
 
 
             そんな上目遣いでみるなよ。
 
             メチャクチャかわいいじゃないか。
 
             本当はもうどうでもいいんだけど、まだかまって欲しいしな。
 
 
 
 
 
 
 
             「ダメ。が悪いんだぞ。」
 
 
 
 
 
 
 
             まったく、そんな嬉しそうな顔で言われても。
 
             さっきのことなんか、もう気にしてないくせに。
 
 
 
 
             見抜かれてます、ミロたん。
 
 
 
 
 
             「ミロ。」
 
             「何だ?」
 
             「今日の晩ご飯は、コロッケだよ。」
 
             「えっ、本当に?」
 
             「食べに来るでしょ?」
 
             「ああ、行く、行く。
 
              のコロッケ美味いもんな〜。」
 
             「じゃあ、7時半位に来てね。」
 
             「OK!!」
 
             「じゃ、また後でね。」
 
             「おう、じゃあな。」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
              <
 
 
 
              くすくすくす。
 
              単純すぎ、ミロたん。
 
              好きな食べ物で釣られちゃうなんて、20歳なのに。
 
              でも・・・・・・・
 
 
 
 
 
 
 
              そこがかわいいんだけど。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
               <一方ミロ>
 
 
 
               コロッケ、コロッケ♪
 
               マジで美味いもんな。楽しみだな。
 
               しかし、何でコロッケの話になったんだっけ?
 
               ・・・・・・・・・・・・・・・
 
 
 
 
 
 
 
               ああっ!!またにやられた!!
 
 
 
 
 
 
 
               やっと気づいたのかミロたん(呆)
 
 
 
 
 
 
 
               気づくのが遅すぎるとはいえ、
 
               おいしいのコロッケが食べられるが、やられっぱなしでは癪である。
 
               そこで、ミロたんはささやかな仕返し考えた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
              「いらっしゃい、ミ・・・・んっ」
 
 
 
 
 
 
 
              ミロは、出迎えたの唇を唐突に奪った。
 
              それもかなり深く。
 
 
 
 
 
 
 
              「なっ、何?ミロ!?」
 
              「さっきのお返し♪ご馳走様。
 
               耳まで真っ赤だぞ。」
 
              「〜〜〜〜〜〜〜馬鹿!!」
 
 
 
 
 
 
 
              バキィーー!!
 
 
 
 
 
 
 
              こうして、本日2度目のクリティカルヒットを食らったミロたんでした。