「はぁ〜」
「どうした?」
 
ベットの隣で、が溜め息を吐いたのを見て、アイオリアは不思議そうに
尋ねた。
 
 
「雨が止まないの」
「ああ、そうだな」
「そうだなって…雷鳴りそうだよ?」
「何だ?は雷が恐いのか?」
 
こくりと頷いたに、アイオリアは笑った。
 
 
「笑わなくてもいいじゃない」
「ごめん、ごめん」
「もういいよ!おやすみ」
 
頬を膨らませ、はアイオリアに背中を向けて寝た。
その様子にアイオリアはまた笑うと、彼女の腰に腕を回した。
 
 
「恐いのだろう?」
「まだ雷鳴ってないもん」
「もうすぐ鳴りそうだ」
「嘘だよ」
 
は背中を向けたまま、こちらを見ようとはしない。
アイオリアは、参ったなぁと呟くと、彼女の腰から腕を離した。
 
 
「こっちを向いてくれないのか?」
「………」
 
は頬を膨らませたまま、黙り込んでいる。
いつもよりからかいすぎたな、とアイオリアは頭を掻いた。
 
 
その時。
 
 
「きゃぁ!」
 
薄暗い部屋に力強い光が走り、すぐ後に大きな雷鳴が響いた。
は左手で耳を塞ぐと、右手で枕を抱いて、眼を瞑った。
 
 
「う〜…アイオリア〜」
「はははっ」
「だから笑わないでよ〜!」
 
背中を向けている為、表情こそは分からないが、きっとはその眼に涙を
溜めているに違いない。
そんな弱い彼女が可愛くて、小さく見える彼女が愛しくて。
 
 
「抱き着く相手が違うんじゃないのか?」
「え?」
 
アイオリアは背後から腕を伸ばすと、彼女が抱き着いている枕を、三度軽く叩
いた。
 
 
「枕か俺、どちらが安心できる?」
「……意地悪」
「俺は護ってやれるが、枕は護ってはくれんぞ」
 
またの腰に腕を回し、アイオリアは彼女を引き寄せた。
 
 
「どっちだ?」
「…アイオリア」
 
は体の向きを変え、アイオリアの腕に抱き着いた。
 
 
「やっぱりこの腕の中が一番安心できるよ」
 
そう言って微笑んだ彼女を、アイオリアは抱き締めた。
 
 
時折鳴る雷に面白いほど反応し、自分に抱き着いてくる彼女に笑う。
一番大きな雷鳴の時、眼を瞑った彼女の唇に口付けて、軽く怒られたことにも
幸せを感じる。
 
 
 
いいよな、今日は。
強く全てを抱き締めても。
 
 
甘い声も全て、この雷鳴で掻き消されそうだけど。
 
 
いいだろう?